ほりみりおから見た世界

オリジナルスケジュールノートと、より良い明日のための深い思いの発信基地

誰も正解なんかわからなかった


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 ふと、車窓の景色を眺めて、自然への畏怖の念、無力感、そして、申し訳無さを感じました。

 いや、きっかけはそれより前に見た、車窓から見える小学校でした。

 平日の今日、校庭には体育の授業で準備体操をする子どもたちがいました。

 

 「自分にもあんな時代があったなぁ」と思いながら、今元気にしているあの子たちも、いつか大人になって、働くんだろうなぁと思いました。

 

 わたしも今は一社会人として働いている身ですが、一般的なルートからはだいぶ逸れてしまいました。

 これまでは、社会や周りの人間を(心のうちで)責めていました。「なぜ◯◯してくれなかったのか」と。

 

 ただここ最近になってわかったことは、「彼らは悪くなかった。誰も正解なんかわからなかった」ということです。

 

 今の時代、わからないことはすべてGoogle先生やSiri先生が教えてくれます。

 でも、昔は調べものをするには、図書館に行かなければいけませんでした。このように個人がマスに発信する手段もありませんでしたから、入手可能な情報の総量は限られていました。

 

 そんな時代では、大人は"取説"に沿った教育しかできません。当時の"取説"にはわかりやすいあぶれ者*の扱い方しか書いておらず、ぱっと見ではわからないわたしのようなあぶれ者については、どう扱うべきか書いていなかったのです。

 

 時折さまざまなSNSで述べていますが、わたしは身体の性は男、心の性は女のいわゆるトランスジェンダーです**。加えて男にも女にも、それ以外の性の人にも「好き」という感情を抱く、パンセクシャルでもあります。耳慣れない言葉を並べてしまい、申し訳ありません。

 

 そんなわたしの"取説"なんて、わたしが子どものころには存在しなかったのです。いや、存在はしていたかもしれませんが、簡単にはリーチ出来なかったのです。ゲイと言えばレイザーラモンHGという時代です。

 このような環境下においては、正しいLGBTの理解するほうが困難です。特にレズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)については、表から見えるものではありませんから尚更です。

 

 わたしはトランスジェンダー(T)ですが、適応力高めなわたしは、当時は男子校通っていたこともあり、「自分は男だ」と自分自身でも思っていました。

 でも小学生時代を思い返せば、口紅を塗ってみたいと思ったことは何度もありましたし、バスタオルや掛け布団を巻きスカートみたいに身にまとったり、こっそり母のスカートを履いて遊ぶのがとても楽しかったです(もちろん自宅内で)。

 

 そんなわたしのための"取説"が、簡単には入手出来なかった時代。わたしの周りの大人たちは、普通の"取説"通りに育てた結果、わたしは晴れてあぶれ者として完成したのです。

 

 だからしょうがないんだと思います。むしろ、「ちゃんと用法・用量を守ったのに、こんな結果なってしまってみんごめん」と、校庭の子どもたちを見て思ったのです。

 

 彼ら(they)は、わたしを立派に育て上げてくれました。ですが、結果が伴いませんでした。しかも、身体は男なのに「わたしは女だ」と、訳のわからないことを言い出しています。

 すべての歯車がうまく噛み合い、回っていたはずだったのに、突然それが音を立てて崩れました。育てた人たちの落胆といったら、尋常ではないと思います。方法は間違っていなかった"はず"なのに、結果がおかしくなったのですから。

 

 そのことを思えば、わたしは育て上げてくれた彼らを責めるのは間違いだと思いました。彼らはしっかり育ててくれました。しっかり育ててくれたのに、本当に申し訳ないです。

 

 時代が進み、情報が簡単に入手できるようになったことで、わたしのような性的マイノリティが一定数存在するということが、大衆にも分かるようになってきました。それは非当事者のみならず、当事者にとっても、「自分だけじゃない」ということを認知できるようになったという点において、非常に良かったと思います。

 

 ですがまだ、社会はそれに適応した形にはなっていない。そのように感じます。わたしのようなあぶれ者でも難なく生きていけるよう、結果を出していこう。そんな思いを胸に、今日も、明日も、生きていきます。

 

 

【脚注】

*多数派と特徴が異なるために、多数派の枠に納まりきらないという文脈でこの表現を使用しております。差別的な意味合いは意図していません。

**かつては確信が持てなかったので「心がやや女性寄り」というあいまいな表現にとどめていましたが、今は女性だという確信が持てるようになったので、はっきり言い切っています。